家庭用無停電電源装置(UPS)とは?仕組み・選び方・導入時の注意点を紹介!
家庭用の無停電電源装置(UPS)は、停電時にパソコンやルーターの電源が落ちて、データが飛んでしまうという不安を解消する保険のような存在です。
テレワーク中のパソコンやネットワーク機器は、突然シャットダウンすると作業中データの消失や機器の故障リスクにつながります。
この記事では、無停電電源装置(UPS)の仕組みや必要性、正しい選び方や導入時の注意点、よくある質問について詳しく紹介します。
家庭用無停電電源装置(UPS)とは
家庭用UPSは、停電が起きたときにパソコンやルーターなどの電源を一時的に支え、データ消失や機器トラブルを防ぐためのバックアップ電源です。
家庭でのテレワークやネットワーク機器の常時稼働が当たり前になった今、データ消失のリスクを抑えられるUPSは実用的な対策になります。
ここでは、家庭用UPSの仕組みや種類について詳しく解説します。
UPSの仕組み
家庭用UPSは、平常時は商用電源で機器を動かしながら内部バッテリーに電気を蓄え、停電時に瞬時にバッテリー側から電力供給を引き継ぐ仕組みです。
一般的なUPSは、商用の交流電力を一度直流に変換してバッテリーを充電し、必要に応じてインバータ回路で再び交流に変換する電力変換部と蓄電部で構成されます。
この仕組みによって、停電や瞬低が発生しても自動的にバッテリー給電へ切り替わり、作業を続けたり、安全にシャットダウンする時間を確保できるのが特徴です。
産業用UPSとの違い
家庭用UPSと産業用UPSは、規模・重要度・電源品質への要求レベルが異なります。
産業用UPSは、データセンターや工場設備、病院など、停電が許されない現場でのバックアップが目的であり、大容量と高信頼性が前提です。
一方、家庭用UPSは限られた機器を数十分程度バックアップできれば十分なケースが多いため、コンパクトな容量で設置しやすさが重視されます。
また、産業用は常時インバータ方式など電源品質を最優先した構成が選ばれやすいのに対し、家庭用ではコストと利便性のバランスを取った方式が主流です。
家庭用UPSの種類
家庭用UPSにはいくつかの種類があり、それぞれ停電時の挙動や平常時の電源品質、価格帯などが異なります。主な種類は以下の通りです。
常時商用給電方式
ラインインタラクティブ方式
常時インバータ方式
常時商用給電方式は、通常時はコンセントの電源を機器へ供給し、停電時だけバッテリー側へ切り替える最もシンプルな種類です。
ラインインタラクティブ方式は、電圧調整機能を備えることで電圧変動を自動補正しながら給電でき、より安定した電源環境で運用したい場合に適しています。
常時インバータ方式は、常にインバータを介して給電することで電源品質を高める種類で、データセンターや医療機器などで用いられることが多いです。
家庭で無停電電源装置が必要な理由


家庭でもテレワークやオンライン学習の利用が当たり前になり、一度の停電や電圧トラブルが、仕事や生活に大きな影響を与えるリスクが高まっています。
ここでは、具体的なシーン別に家庭用UPSの必要性について詳しく解説します。
停電時にパソコンやデータを守る
家庭用UPSがあれば、突然の停電からパソコンやデータを守ることができます。
作業中に電源がいきなり落ちると、保存前のデータが消えるだけでなく、OSやハードディスク、SSDにダメージが残る可能性があります。
UPSを介してPCやNASを接続しておけば、停電が起きても一定時間はバッテリーで給電が続くため、落ち着いて上書き保存や安全なシャットダウンを行えます。
特に失ったら取り返しがつかない情報を扱う場合、バックアップと同じくらい電源の保護も重要になるため、家庭用UPSの導入価値は高いです。
電圧の乱れから精密機器を保護する
家庭用UPSを導入していれば、電圧の乱れから精密機器を保護できます。
コンセントから供給される電気は、瞬間的な電圧低下や過電圧が発生することがあり、これが精密機器に負担をかける原因になります。
UPSの多くは、こうした電圧の乱れを一定の範囲内に抑える機能を持っており、パソコンやネットワーク機器などの故障リスクを軽減できます。
結果として機器内部の部品にかかるストレスが減り、寿命の延長にもつながりやすくなるため、高価な精密機器を長く安心して使いたい方にも適しています。
停電中も最低限の通信を維持できる
家庭用UPSをルーターやONUに接続しておけば、停電直後も一定時間はインターネット接続を維持できるため、家族や職場との連絡が可能になります。
停電が起きると、ONUやルーターなどのネットワーク機器の電源が落ちてしまい、回線自体は生きていても家庭内の通信が途絶えてしまうケースがほとんどです。
停電時こそ正確な情報や連絡手段が重要になりますが、家庭用UPSを導入していれば、最低限の通信は維持できます。
また、テレワーク中のオンライン会議やクラウド作業でも、短時間の停電であれば通信が途切れずに済むため、仕事の中断や再接続の手間を最小限に抑えられます。
家庭用無停電電源装置の選び方


家庭用UPSを選ぶ際は、容量・出力波形・バッテリー稼働時間などの基本スペックと使い勝手の条件をバランスよくチェックすることが重要です。
ここでは、失敗しない選び方について詳しく解説します。
容量の確認
家庭用UPSは、接続する機器に対して十分な容量があるかどうかの確認が必要です。
家庭用UPSの容量はVAとWで表記され、接続したい機器の定格消費電力を合計し、その合計値を上回る容量を選ぶのが基本になります。
この際、合計消費電力に対して7割程度の負荷率に収まるよう余裕を持たせると、バッテリーへの負担が減り、バックアップ時間も確保しやすくなるため安心です。
出力波形の種類
家庭用UPSを選ぶ際は、出力波形にも必ず注目する必要があります。
UPSの出力波形は大きく「正弦波」と「矩形波」に分かれ、PFC電源を搭載したPCやサーバーなどは正弦波出力が推奨されるケースが多いです。
もし矩形波のUPSをPFC電源の機器に使うと、ノイズや発熱、最悪の場合は誤動作や故障につながる可能性があります。
一方、比較的負荷が少ない機器だけを守りたい場合は、コストを抑えやすい矩形波タイプも候補になるため、予算とのバランスを踏まえて考えることが重要です。
バッテリー稼働時間
家庭用UPSのバッテリー稼働時間は、停電時にどれくらいの猶予がほしいかを決めるうえで欠かせない指標になります。
製品ごとのスペック表には、負荷が何Wのときに何分間バックアップできるかの目安が記載されていることが多いです。
一般的な家庭用利用では、以下のようなケースが考えられます。
安全にシャットダウンするための数分程度あれば十分
録画サーバーを長めに動かしたい
停電中もオンライン会議を継続したい
長時間のバックアップを求める場合もあるため、用途に応じた時間をあらかじめ決めてから製品を比較すると選びやすくなります。
サイズ・騒音
家庭用UPSを設置する際は、サイズや騒音も重要なポイントになります。
デスク下やテレビボードの裏など、UPSは限られたスペースに置くことが多いため、本体の幅や高さを事前に確認しておくと設置後のストレスが減らせます。
また、ファン冷却式のUPSはファン音が気になる場合があるため、カタログに記載されている騒音値は事前に確認しておくと安心です。
特に寝室やリビングに設置する場合は、静音性の高いモデルや、通常運転時は40dB前後を目安に選ぶと、生活音に紛れやすく快適に使えます。
家庭用無停電電源装置を導入する際の注意点


家庭用UPSは、正しく選んで適切に運用すれば心強いトラブル対策になりますが、不備があれば「いざというときに動かない」という事態を招きかねません。
ここでは、導入する際の注意点について詳しく解説します。
容量不足・出力不足のリスク
家庭用UPSを導入する際は、容量不足や出力不足によるトラブルに注意が必要です。
UPSは定格容量を超える負荷が接続されると、保護のために出力を停止したり、ブレーカーが作動して機器の電源が落ちたりする場合があります。
さらに、容量がギリギリだとバックアップ時間が短くなったり、バッテリーや内部部品への負担が増えて寿命を縮めてしまうリスクも想定されます。
停電対策をしたのにUPSが先に落ちたという最悪の事態を防ぐためにも、どの機器を守るかを明確にしたうえで、対応機器の条件を確認することが重要です。
バッテリー寿命
家庭用UPS導入時は、バッテリーに寿命があることを理解しておく必要があります。
多くのUPSでは鉛蓄電池などが使われており、一般的な使用環境(周囲温度20〜25度前後)で、おおむね2〜5年程度が交換の目安とされています。
高温環境や頻繁な充放電、長時間の停電など厳しい条件が重なると寿命は短くなるため、年に一度程度は点検を行い、異常があれば早めに交換することが大切です。
設置環境や安全面の注意点
家庭用UPSは電力を扱い発熱も伴うため、設置環境や安全面への配慮が欠かせません。
本体の通気口を塞がない
高温・多湿・直射日光を避ける
ほこりが少ない場所に置く
上に物を載せない
転倒の危険が少ない場所を選ぶ
定格容量に合ったコンセントを使う
水や可燃物の近くに置かない
安全上好ましくない環境では性能が十分に発揮されないだけでなく、寿命短縮や故障、最悪の場合は発煙や発火につながるリスクがあるため注意が必要です。
電源自動切り替え機能を備えるポータブル電源おすすめ2選
近年は、停電時だけでなく日常やアウトドアでも使える、電源自動切り替え機能を備えるポータブル電源が注目を集めています。
ここでは、電源自動切り替え機能を搭載するポータブル電源2選の特徴を詳しく解説します。
EcoFlow RIVER 3 Plus:停電時は10ms以内に電力を切り替え


EcoFlow RIVER 3 Plusは、容量286Wh・定格出力600W(X-Boostで900W)の家庭向けに最適なサイズ感のポータブル電源です。
本体を経由して常時接続しておけば、停電が発生しても10ms以内にバッテリー給電へ切り替わるため、精密機器にも安心して使用できます。
また、持ち運びや収納に適した小型設計で使いやすく、48cmの近距離でも稼働音は30dB以下のため、寝室でも利用可能です。
さらに、ACコンセントから1時間で満充電が可能、約10年間の長寿命、専用アプリでの簡単操作など、さまざまな魅力もあります。
EcoFlow DELTA 3 Plus:停電時は10ms未満で電力を切り替え


EcoFlow DELTA 3 Plusは、容量1024Wh・定格出力1500W(X-Boostで2000W)という上位クラスのスペックを備えたポータブル電源です。
10ms未満で切り替わる高度な電源自動切り替え機能を備えており、Storm Guard機能により悪天候に関する警報が発令された際は優先的に電力を確保できます。
冷蔵庫や電子レンジなどほとんど全ての電化製品に対応し、長寿命のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用しているため10年という長寿命を誇ります。
家庭用無停電電源装置に関するよくある質問


最後に、家庭用UPSに関するよくある質問を詳しく解説します。
停電時に家庭用UPSはどれくらいの時間使える?
家庭用UPSのバックアップ時間は、バッテリー容量と接続している機器の消費電力によって大きく変わるため、一律で何分とはいえません。
例えば小型UPSの場合、50W程度の負荷なら約60〜90分程度、300W程度の負荷では数分〜10分前後というケースが多いです。
長時間の運転よりも、停電時に安全にシャットダウンする用途が想定されているため、メーカーが公開しているバックアップ時間表を確認して選ぶのがおすすめです。
マンションや賃貸住宅でもUPSを導入して大丈夫?
マンションや賃貸住宅でも、一般的な家庭用UPSは工事なしで問題なく導入できます。
ただし、2kVA以上の大容量機や200V対応の業務用UPSなどでは、専用回路や電気工事が必要になる場合があり、この場合は管理会社やオーナーへの確認が必要です。
家庭用UPSは常に電源を入れっぱなしで問題ない?
家庭用UPSは、基本的に常時通電を前提に設計されています。
安全に長く使うためには、定期的にセルフテストや停電シミュレーションを行ってバックアップ動作を確認し、バッテリー交換推奨時期を確認しましょう。
まとめ
家庭用UPSは、突然の停電や電圧トラブルからパソコンやネットワーク機器を守り、データ消失や機器故障のリスクを大きく減らしてくれる心強い存在です。
導入時は、接続する機器の消費電力から必要容量を見積もり、出力波形やバックアップ時間などを確認することで、本当に役立つ一台を選びやすくなります。
なお、近年では高性能な電源自動切り替え機能を備えたポータブル電源も登場しており、日常使いと停電対策を一度に実現したい方におすすめの選択肢になっています。
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