着雪とはどういう意味?着雪注意報の条件や着雪被害・家庭向けの対策も解説
雪が物体に付着する着雪は、電線や信号機、構造物などで起こりやすく、人的被害につながります。被害が及ぶのは、北海道や東北地方などの豪雪地帯に限りません。関東や関西、九州などの非雪国であっても、複数の気象条件が重なれば、着雪による被害が発生します。
そこで本記事では、着雪とはどんな現象かについて解説します。着雪注意報とはいつ発表される情報かや、着雪がもたらす被害と対策も掲載しているので、着雪のリスクに備えられるようになるでしょう。着雪災害から家族を守りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
着雪とは
着雪とは、雪が構造物に付着する現象または付着した雪です。電線や信号機、道路構造物の倒壊や落雪などの被害をもたらす原因になります。電線着雪の量は、降雪強度(mm/h)と風速(m/s)の積に依存しているのが特徴です(※1)。
降雪強度と風速の積が15(降水強度3mm/h、風速成分5m/s)を超えた場合、筒状の着雪が発達し、50以上では大事故を引き起こすほどの着雪に見舞われます。
※1参考:奈良地方気象台「雪による災害事例」
湿型着雪と乾型着雪とは
着雪は湿型と乾型に大別され、特に0℃以上の時に水分を含む雪になるため、付着しやすく大きく成長します。湿型着雪と乾型着雪の特徴は、以下のとおりです(※2)。
湿型着雪 | 乾型着雪 | |
着雪密度 | 600kg/m3以上 | 200kg/m3以下 |
風速 | 10m/s以上 | 数m/s程度 |
気温 | 0~2℃ | 0℃以下 |
特徴 | ・あらゆる構造物に付着する ・短時間で多量の雪が付着する | ・時間の経過とともに付着力が増す ・構造物ごとに発生条件が異なる |
気象庁が発表する着雪注意報とは
着雪注意報とは、著しい着雪によって災害のリスクが高まっている際に気象庁から発表される注意報です(※3)。着雪による電線の断線や送電鉄塔の倒壊などが、対象の災害として挙げられます。注意報が発表されやすいのは、気温0℃付近です。
※3参考:気象庁「気象警報・注意報の種類」
着雪がもたらす5つの被害


多量の着雪は建造物の倒壊や落雪により、以下の人的・建物被害を引き起こします。着雪は0℃以上で最も大きく成長するため、豪雪地帯以外の地域でも注意が必要です。
被害1|倒木による交通障害
被害2|信号機の着雪による事故
被害3|道路標識の着雪による事故
被害4|センサーの着雪による不具合
被害5|電線の断線による停電
それぞれの被害について、詳しく見ていきましょう。
被害1|倒木による交通障害
道路案内標識の着雪が落下して車両に衝突したり、着雪による倒木が道路を閉鎖したりすると、交通障害が発生します。道路の通行止めや鉄道の運休・遅延などが生じると、多くの人の日常生活に支障が出るでしょう。救急車が通行を阻まれると、人命にも直結します。
被害2|信号機の着雪による事故
信号機の着雪は信号が見えづらくなり、安全性が低下します。ドライバーが信号を見落としたり、歩行者が誤って横断したりすると、大事故につながりかねません。関東や関西などの非雪国では信号機に対策が施されていない場合が多いので、特に注意しましょう。
被害3|道路標識の着雪による事故
道路標識の着雪で標識の内容が判別できない状況では、ドライバーが進行方向や制限速度、優先道路などの判断を誤る可能性があります。特に視界が悪くなる降雪時には、誤認による事故リスクが高まります。
山間部や交通量の少ない道路では、道路標識の着雪が放置されがちで、より事故のリスクが高まるでしょう。標識が完全に雪で覆われると、命に関わる大事故につながりかねません。
被害4|センサーの着雪による不具合
車のセンサーに着雪すると、想定通りのセンシングが機能しません。センシングとは、車両の周辺状況をセンサーで検知し、運転をサポートする機能です。
センサーが十分に働かないと、前方に人や障害物が現れた際に警告がされず、事故につながる恐れがあります。また、ブレーキとアクセルの踏み間違い事故も防げません。
被害5|電線の断線による停電
着雪の重みや倒木によって電線が切れると、停電が発生します。特に水分を多く含んだ湿型着雪の場合は、着雪が大きくなりやすく、断線につながりやすいのが特徴です。降り積もった雪の重さに風の影響も加わると、電線を支えている鉄塔自体が転倒する恐れもあります。
着雪による停電時に自宅で起こりうる被害は、以下のとおりです。
暖房機器が稼働できず、低体温症のリスクが高まる
冷蔵庫の冷却機能が停止し、食品が傷んでいく
電子レンジや電気ケトルを使い、食品を加熱できない
夜は真っ暗闇の中で生活しなければならない
スマホの充電が切れ、着雪や積雪に関する情報を収集できない
2022年12月23日〜25日には、北海道紋別市で着雪による鉄塔倒壊や倒木が原因で、2万4千戸の大規模な停電が発生しました(※4)。
着雪被害の軽減に用いられる対策3選


豪雪地帯を中心として、着雪被害の軽減を目的に様々な対策が取られています。着雪被害を防ぐには、着雪しない・着雪を取り除く・落雪しない以下の対策が必要です。
1.難着雪対策
2.着雪除去対策
3.落雪対策
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
1.難着雪対策
雪を付着させない対策が、難着雪対策です。道路標識の着雪・落雪対策として、最も検討されてきました。難着雪対策には、以下2つの方法があります。
形状変更:雪が付着しにくい構造に変える
性状変更:雪が付着しにくい性質に変える
道路案内標識の形状変更は、上部に屋根を取り付ける方法や、梁材に傾斜板を取り付ける方法などです。性状変更には、表面素材に親水性能を持たせる方法が挙げられます。
2.着雪除去対策
着雪を人力や振動、熱などで取り除く対策が、着雪除去対策です。一部の方法は電源が必要になるため、採用できる地域が限られます。着雪除去対策の方法は、以下のとおりです。
部材を振動させて着雪を取り除く
発熱システムで融解させる
雪落とし装置を使って強制的に除去する
寒冷な地域でヒーターを使用した場合は、融解水が再凍結してつららが形成されるため、落下による被害が懸念されています。
3.落雪対策
着雪した雪をその場に留まらせて落雪を防ぐ対策が、落雪対策です。格子フェンスやネットを部材に取り付け、付着した雪を保持して自然融解させます。最終的には、被害が起きない程度の雪質や量にして落下させる方法です。橋梁や送電線への適用が検討されています。
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着雪による停電対策!ポータブル電源とは


着雪が大きくなると、雪の重さに耐えかねて電線が切れ、停電が発生します。電線の修復には時間を要する恐れがあり、その間は電化製品が使用できません。停電中も電化製品を動かして健康的な生活を維持するには、ポータブル電源が必要です。
ポータブル電源とは、内部に大量の電気を溜め込み、停電中でも電化製品に給電できる機器を指します。停電中にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
電子レンジや電気ケトルを稼働して、簡単に非常食を温められる
エアコンや扇風機などの冷暖房機器を稼働して、快適な気温を維持できる
冷蔵庫に給電して、食品が傷むのを防げる
除雪機を使い、効率的に除雪作業が行える
LEDライトを点灯させて、夜の暗闇を照らして安全に生活できる
防災ラジオを稼働し、迅速に着雪注意報を収集できる
家族との連絡手段になるスマホを常に満充電にしておける
ポータブル電源は持ち運びできるので、自宅以外の場所に避難する際にも携帯できます。ソーラーパネルと併用すれば、停電が長引いても充電切れの心配はありません。
防災対策に必要な性能|おすすめの製品
雪害による大規模停電に備えるには、用途に合ったポータブル電源が必要です。豪雪地域にお住まいで屋外へ避難する可能性がある場合は、携帯性に優れた軽量コンパクトなタイプが必要です。一方、在宅避難を想定する場合は、高出力・大容量のタイプが重宝します。
EcoFlowは、用途に応じて以下のポータブル電源を販売しています。
コンパクト型「RIVER 3 Plus」
大容量モデル「DELTA 3 Plus」
それぞれの機種について、詳しく見ていきましょう。
コンパクト型「RIVER 3 Plus」
定格出力600W、容量286Whのポータブル電源。約4.7kgの軽量コンパクト設計なので、注意報・警報が発表された際には、迅速な避難が実現します。X-Boostで最大900Wの家電を動かせるので、持ち運んだ先で停電時の頼れるパートナーとなるでしょう。
30dBの静音設計により、他の被災者が周囲にいる環境でも迷惑になりません。LEDライトやソフトウェアアラートを搭載し、防災対策に最適。着雪注意報が発表されてから、わずか1時間でコンセントから充電が可能です。7つの多彩な出力ポートを搭載しています。
大容量モデル「DELTA 3 Plus」
定格出力1500W、容量1024Whのポータブル電源。X-Boost機能で最大2000Wの家電が動かせて、拡張後に最大5kWhの大容量を備えているので、大家族の停電対策に最適です。約12.5kgの小型設計により、家電を部屋中どこでも気軽に持ち運べます。
高度な電源自動切り替え機能を搭載しており、停電が起きると10ms未満で電気供給源がポータブル電源に切り替わります。コンセントから最短56分、ソーラーパネルから70分で満充電が可能です。高性能BMSを搭載し、高い安全性も備えています。
家庭で実践できる着雪対策3選


着雪は信号機や道路構造物に起こりやすいので、安全に運転するための対策が欠かせません。また、電線の切断によって生じる大規模な停電への備えも万全に整えておく必要があります。家庭で実践できる着雪対策は、以下のとおりです。
対策1|わだちに沿って運転する
対策2|走行前にセンサーの雪を取り除く
対策3|防災グッズを備蓄する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|わだちに沿って運転する
着雪によって道路案内標識が見えづらくなっている場合は、わだちに沿ってゆっくり運転しましょう。わだちとは、前の車が走行した跡です。わだち上を走行すれば進行方向が明確になり、視界が悪い場面でも安心して運転できます。
対策2|走行前にセンサーの雪を取り除く
センサーに着雪していると安全性が低下するため、走行前にセンサーの雪を取り除くようにしてください。スノーブラシで取り除けない場合は、少しずつお湯で溶かしましょう。水分の多いベタ雪の場合は、わずかなセンサーへの着雪でもシステムにエラーが出ます。
対策3|防災グッズを備蓄する
着雪による交通障害や停電に備えて、以下のような防災グッズの備蓄も重要です。被害が大きく物流機能が停止した場合、必要なものがすぐには手に入りません。
飲料水
非常食
衛生用品
懐中電灯
救急用品
除雪道具
防災ラジオ
ポータブル電源
豪雪地帯では、防寒着や毛布、カイロなどもあると安心です。
着雪に関するよくある質問


最後に、着雪に関するよくある質問を紹介します。
難着雪リングとは何か?
積雪と着雪の違いは?
着雪しやすくなる条件とは?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
難着雪リングとは何か?
難着雪リングとは、電線のよりに沿って回転移動する雪を止め、着雪の成長を防ぐ設備です。電線に湿った雪が付着した場合、通常は雪が回転移動しながら成長していきます。
雪が全体に付着した電線は重みでねじれやすいため、着雪の成長を促進させてしまうのです。電線の着雪対策には、難着雪リングとねじれ防止ダンパーが活躍します。
積雪と着雪の違いは?
積雪とは、地面に自然な状態で積もった雪です。一方の着雪とは、湿った雪が物体に付着する現象、または付着した雪を指します。気象用語として積雪は降った雪の量を表すのに対し、着雪は物に雪が付着する現象を指すのが特徴です。
着雪しやすくなる条件とは?
地上の気温が0℃〜1.5℃で雪が降り続いていると、水分を含む雪になるので、着雪しやすく大きく成長します。また、風が強い時も着雪しやすくなるのが特徴です。降雪強度と風速の積が50を超えると、大事故に至るほどの着雪が予想されるので、注意してください。
まとめ


本記事では、着雪とはどんな現象かについて解説してきました。
着雪とは、湿った雪が物体に付着する現象、または付着した雪のことです。着雪は0〜2℃で発生する湿型着雪と、氷点下で発生する乾型着雪に大別されます。
湿型着雪は水分を多く含む雪になるため、着雪が大きく成長しやすいのが特徴です。電線や信号機、道路案内標識などへの着雪は、事故や停電、交通障害を引き起こすリスクがあります。運転前にセンサーの雪を取り除いたり、防災グッズを備蓄したりと対策が必要です。
EcoFlowは、着雪による停電時も電化製品を動かせるポータブル電源を販売しています。雪害による停電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。