リチウム電池とは?安全な廃棄方法・捨て方やリチウムイオン電池との違いも解説
リチウム電池とは、電極に「リチウム」を含んだ一次電池です。リチウムイオン電池と名前が似ているので、両者の違いに戸惑っている方も多いでしょう。リチウム電池もリチウムイオン電池も、身の周りにある様々な機器に使用されています。
そこで本記事では、リチウム電池とはどんな電池かについて解説します。リチウムイオン 電池との違いや廃棄方法も掲載しているので、リチウム電池の特徴や扱い方が理解できるでしょう。リチウム電池を安全に使用したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
リチウム電池とは
リチウム電池とは、リチウムと呼ばれる金属を使用した一次電池です。一次電池は、一度完全に放電したら再び充電できません。電池内ではリチウムが化学反応を起こして、電気エネルギーが生成される仕組みです。リチウム電池に関する以下の項目を解説します。
リチウム電池に使われているもの
リチウム電池とリチウムイオン電池の違い
リチウム電池と乾電池の違い
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
リチウム電池に使われているもの
リチウム電池の負極に使われているのはリチウム金属、正極に使われているのは二酸化マンガンやフッ化黒鉛などです。リチウム金属の主な特徴を紹介します。
常温で柔らかい
イオン化傾向が大きい
常温で空気や水と反応する
酸化されやすい
リチウム金属は燃えやすい材料なので、扱い方に注意が必要です。
リチウム電池とリチウムイオン電池の違い
リチウム電池は一次電池であるのに対し、リチウムイオン電池は二次電池です。二次電池は、一度放電しても充電したら繰り返し使えます。リチウムイオン電池では、正極にリチウム、負極に炭素系材料の黒鉛を使うのが一般的です。
リチウム電池とリチウムイオン電池における特徴の違いを見ていきましょう。
リチウム電池 | ・耐久性や耐熱性が高い ・劣化しにくい ・電圧が高く、安定している |
リチウムイオン電池 | ・高エネルギー密度を持つ ・充放電サイクルが多い ・自然放電が少ない |
リチウム電池と乾電池の違い
リチウム電池は、乾電池の一種です。乾電池は一次電池とも呼ばれ、一度使用すると再利用できない特性を持ちます。リチウム電池は、乾電池の中でも軽量な電池です。乾電池には、リチウム電池以外にもアルカリ乾電池やマンガン乾電池などがあります。
リチウム電池の種類4選と特徴


リチウム電池は、正極の材料によって種類が分かれ、それぞれ自然放電率や高温耐性、パルス放電特性などが異なります。リチウム電池の種類は、以下のとおりです。
種類1|二酸化マンガンリチウム一次電池
種類2|フッ化黒鉛リチウム一次電池
種類3|二硫化鉄リチウム一次電池
種類4|塩化チオニルリチウム一次電池
それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。
種類1|二酸化マンガンリチウム一次電池
二酸化マンガンリチウム一次電池とは、正極に二酸化マンガン、負極にリチウムを使用したリチウム一次電池です。二酸化マンガンリチウム一次電池の特徴を紹介します。
自己放電率が低い
使用温度範囲が広い
高いエネルギー密度を持つ
主な用途は、電子手帳や自動車用電子キー、ICカードなどです。コイン型の外形をしている場合が多く、コイン形リチウム電池やコイン電池とも呼ばれます。
種類2|フッ化黒鉛リチウム一次電池
フッ化黒鉛リチウム一次電池とは、正極にフッ化黒鉛、負極にリチウムを使用したリチウム一次電池です。フッ化黒鉛リチウム一次電池の特徴を紹介します。
自己放電率が低い
使用温度範囲が広い
高いエネルギー密度を持つ
作動電圧が低い
主な用途は、通信機や電気メーター、ETCなどです。リチウム一次電池で主流の二酸化マンガンリチウム一次電池と比較すると、高温での性能維持に優れています。
種類3|二硫化鉄リチウム一次電池
二硫化鉄リチウム一次電池は、正極に二硫化鉄、負極にリチウムを使用する一次電池です。二硫化鉄リチウム一次電池の特徴を紹介します。
自己放電率が低い
使用温度範囲が広い
高いエネルギー密度を持つ
軽量さと高出力を兼ね備える
10年間保存したとしても、パワーの残存率は80%程度です。デジタルカメラやスマートドアロック、バックアップ電源システムなどに使用されます。
種類4|塩化チオニルリチウム一次電池
塩化チオニルリチウム一次電池とは、正極に塩化チオニル、負極にリチウムを使用した電池です。無機材料で作られるため、長期間の使用に向いています。
塩化チオニルリチウム一次電池の主な特徴は、以下のとおりです。
自己放電率が低い
使用温度範囲が広い
高いエネルギー密度を持つ
3.6Vの高電圧を持つ
長期信頼性に優れている
自己放電が極めて少なく、室温で約10年間も保存できます。主な用途は、エレクトロニクス機器電源や電力・ガス・水道メーター用電源、警報装置用電源などです。
リチウム電池・リチウムイオン電池電池を使った製品


リチウム電池・リチウムイオン電池電池を使った製品は、以下のとおりです。
リチウム電池を使った製品 | カメラ、電子手帳、電気ウキ、メモリーカード、ICカード、ETC、メーター、ドアロック、火災報知機 |
リチウムイオン電池を使った製品 | モバイルバッテリー、ポータブル電源、加熱式タバコ、カメラ、ハンディファン、パソコン、ゲーム機、電気カミソリ、コードレス掃除機、充電式工具 |
リチウム電池は、用途によってコイン形・円筒形・ピン形などの形状に分かれます。幅広い使用温度範囲を持ち、自己放電率が低いため、長期間の使用にも最適です。一方のリチウムイオン電池は、長寿命・小型・軽量という特性から、活用事例も多岐にわたります。
リチウム電池の安全な廃棄方法・捨て方とは


リチウム電池は、一般の不燃ごみと一緒に捨てても問題ありません。ただし、+極と-極をセロハンテープやビニールテープで絶縁してから廃棄する必要があります。
リチウム電池の廃棄方法を誤ると、ショートして発熱・破裂・発火の危険があるのです。最悪の場合は、大怪我を負ったり、火災に発展したりする恐れがあります。市町村によって捨て方が異なるので、その指示に従いましょう。
リチウム電池以外の一次電池は4種類


一次電池(乾電池)には、リチウム電池以外にも以下の種類があります。どれも一度完全に放電すると再利用できませんが、出力や安全性、寿命などの性質が異なります。
種類1|マンガン乾電池
種類2|アルカリ乾電池
種類3|空気亜鉛電池
種類4|酸化銀電池
それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。
種類1|マンガン乾電池
一次電池の中でも歴史が古く、世界中で使われているマンガン乾電池。正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液に塩化亜鉛を使用しています。
マンガン乾電池の特徴は、以下のとおりです。
しばらく休ませると電圧が回復する
アルカリ乾電池の半分程度の価格で購入できる
アルカリ乾電池よりも軽い
短時間の間欠使用や負荷電流の小さい機器として、リモコンや時計などに適しています。
種類2|アルカリ乾電池
アルカリ乾電池は、正極に二酸化マンガン黒鉛の粉末、負極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムなどが使用される一次電池です。一般的にはマンガン乾電池の上位互換であり、長寿命を誇ります。マンガン乾電池よりも大きな電流を流せるのが特徴です。
連続的に大きな電流が流れる機器として、フラッシュライトやデジタルカメラ、ヘッドホンステレオなどに使用されます。液漏れの毒性が強い点に注意が必要です。
種類3|空気亜鉛電池
空気亜鉛電池は、正極に空気中の酸素、負極に亜鉛を使用する一次電池です。正極には酸素を遮断するためのシールが貼られており、使用時はシールを剥がします。時間の経過とともに電池の寿命は短くなっていくのが特徴です。空気亜鉛電池の特徴を紹介します。
安価な材料で製作できる
比較的大容量を誇る
放電時の電圧変動が少ない
常時使用し続ける機器に向いているため、主な用途は補聴器の電源です。ただし、使用する環境に影響を受けやすいので注意しましょう。
種類4|酸化銀電池
酸化銀電池とは、正極に酸化銀、負極にゲル化した亜鉛を使用した一次電池です。水素の発生を防ぐために、亜鉛の表面が水銀で覆われています。酸化銀電池は放電時に電圧が安定しているため、機器の安定した動作が可能です。
また、エネルギー密度が高いので、長寿命を誇ります。自己放電が低く、長期保管にも最適です。ただし、希少金属の銀を使っているため、コストが高くなります。
リチウムイオン電池採用の「ポータブル電源」とは


長寿命・小型・軽量の特徴を持つリチウムイオン電池は、スマートフォンやタブレット、電気自動車などのバッテリーとして活用されています。リチウムイオン電池を採用するアイテムの中でも、家庭の節電対策や停電対策、アウトドアで活躍するのがポータブル電源です。
ポータブル電源とは、内部に大量の電気を貯めこみ、コンセントがない場所でも電化製品に給電できる機器を指します。ポータブル電源が役立つ場面は、以下のとおりです。
災害による停電時も、冷暖房機器や調理家電を稼働し続けられる
電気料金の安い時間帯に蓄電した電気で日中を過ごせる
ソーラーパネルから蓄電した無料の電気で生活できる
アウトドアで電化製品を駆使して、快適な生活が送れる
屋外の現場作業で電動工具を稼働して、作業効率を上げられる
リモートワークでパソコンやスマホの充電切れに困らない
ポータブル電源にはコンセントと同様のAC出力を搭載しているので、自宅にある幅広い家電に給電できます。ソーラーパネルを使えば、充電切れの心配もありません。
長寿命のリン酸鉄リチウムイオン電池を採用|おすすめ製品
リチウムイオン電池と聞くと、発火や火災のリスクを懸念される方も多いでしょう。リン酸鉄リチウムイオン電池が採用されたポータブル電源であれば、他のリチウムイオン電池にはない高い安全性を誇ります。さらに、10年以上の長寿命を誇る点も魅力です。
EcoFlowは、リン酸鉄リチウムイオン電池採用のポータブル電源を販売しています。
DELTA 3 Plus
DELTA 3 Max Plus(2048Wh)
それぞれの製品について、詳しく見ていきましょう。
DELTA 3 Plus
定格出力1500W、容量1024Whのポータブル電源。X-Boost機能で最大2000Wの出力と、拡張後に最大5kWhの大容量を備えており、大家族の停電対策や節電対策にも最適です。約12.5kgの小型設計により、屋内外問わず自由に持ち運べます。
高度な電源自動切り替え機能を搭載しており、停電が起きると10ms未満で電気供給源がポータブル電源に切り替わります。コンセントから最短56分で満充電できるので、使いたい時にすぐ使える点も魅力。ソーラーパネルと併用すれば、停電中も70分で満充電できます。
DELTA 3 Max Plus(2048Wh)
最大出力3,000W、容量2,048Whのポータブル電源。最大3,800Wの電化製品に対応し、最大10,240Whに容量を拡張できるので、停電が長期化しても安心。各ポート最大2,000W出力のAC出力ポートや、高出力のUSB-Cポートなど、計10の出力ポートを搭載しています。
4つのAC出力を2つに分けてコントロールできるので、夜はエアコンと冷蔵庫をオン、照明だけオフ、といった使い方が可能です。主要ポートは前面に集約しているので、スムーズに接続できます。X-Stream急速充電技術により、わずか108分で満充電が可能です。
リチウム電池を扱う際の注意点3選


自己放電率が低く、使用温度範囲が広いリチウム電池は様々な製品に活用されていますが、常に発熱・発火・破裂のリスクがあります。リチウム電池の注意点は、以下のとおりです。
注意点1|乳幼児の側に放置しない
注意点2|金属製品と一緒に保管しない
注意点3|無理やり充電しない
それぞれの注意点について、詳しく見ていきましょう。
注意点1|乳幼児の側に放置しない
リチウム電池に限らず、電池は乳幼児の側に放置しないでください。万が一飲み込んだ場合、食道や胃などの消化管が損傷し、重篤な事故につながる恐れがあります。
特にコイン形リチウム電池の誤飲は、短時間で化学反応が起きて死亡するケースもあるのです。乳幼児が電池を飲み込んだ場合は、早急に医療機関を受診しましょう。
注意点2|金属製品と一緒に保管しない
リチウム電池は、ネックレスやコイン、鍵などの金属製品と一緒に保存しないでください。金属は電気を通すので、リチウム電池のプラス極とマイナス極に金属が触れると、ショートして大きな電流が流れます。その結果、発熱や破裂、発火につながりかねません。
注意点3|無理やり充電しない
リチウム電池は繰り返し使えない一次電池です。一度完全に放電したら電力は復活しないので、無理やり充電しようとしないでください。リチウム電池を充電すると、液漏れや発熱、破裂、発火につながり危険です。一次電池の本体や包装には、充電禁止の記載があります。
リチウム電池とは何かに関するよくある質問


最後に、リチウム電池とは何かに関するよくある質問を紹介します。
リチウム電池は飛行機に持ち込める?
リチウム電池とリチウムイオン電池は特徴に違いがある?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
リチウム電池は飛行機に持ち込める?
リチウム電池を飛行機に持ち込めるかどうかは、リチウムの含有量によって異なります。国内線で「機内持ち込み」または「お預け」ができる条件は、以下のとおりです(※1)。
種類 | リチウム含有量 | 機内持ち込み | お預け |
内蔵電池 | 2g以下 | 可能 | 可能 |
2gを超える | 不可能 | 不可能 | |
予備電池 | 2g以下 | 可能 | 不可能 |
2gを超える | 不可能 | 不可能 |
リチウム電池とリチウムイオン電池は特徴に違いがある?
一次電池であるリチウム電池は充電ができず、二次電池のリチウムイオン電池は充電できます。リチウム電池とリチウムイオン電池における特徴の違いは、以下のとおりです。
リチウム電池 | ・耐久性や耐熱性が高い ・劣化しにくい ・電圧が高く、安定している |
リチウムイオン電池 | ・高エネルギー密度を持つ ・充放電サイクルが多い ・自然放電が少ない |
まとめ


本記事では、リチウム電池とはどんな電池かについて解説してきました。
リチウム電池とは、負極にリチウムを使っている一次電池です。リチウムイオン電池のように充電はできません。自己放電率が低く、使用温度範囲が広いので、環境によらず10年程度も長持ちする場合があります。
リチウム電池は一般の不燃ごみと一緒に捨てても問題ありませんが、+極と-極をセロハンテープやビニールテープで絶縁してから廃棄しましょう。
EcoFlowは、長寿命のリン酸鉄リチウムイオン電池を採用するポータブル電源を販売しています。家庭の節電・停電対策を完璧にしたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。