電力サージとは?定義・原因・家庭でできる対策法を詳しく紹介!
突然パソコンや家電が故障した場合、電力サージが原因の可能性があります。
電力サージは目には見えない現象のため、知らないうちに寿命が縮んでいたり、故障やデータ消失につながるおそれもあるため注意が必要です。
この記事では、電力サージの定義、瞬電や停電との違い、発生する主な原因や与える影響、家庭でできる対策について詳しく紹介します。
電力サージとは
電力サージは、電圧が一時的に大きく跳ね上がる現象を指し、パソコンやテレビなどの精密機器に大きな負担を与えます。
ここでは、電力サージの正確な定義や、似ているようで異なる現象との違いについて詳しく解説します。
電力サージの定義
電力サージは、通常よりも高い電圧が一時的に加わる過渡的な過電圧を指し、数マイクロ秒~数ミリ秒という短い時間で急激に立ち上がるのが特徴です。
代表的な原因としては、落雷による雷サージの侵入や電力会社側の開閉操作、大電流機器のスイッチング動作に伴うサージ電圧の発生などが挙げられます。
一瞬の高電圧は人の目や感覚ではわかりませんが、電子機器内部の回路素子には大きなストレスとなり、絶縁破壊や劣化、誤動作の引き金になります。
電圧変動・ノイズとの違い
電力サージと混同されやすい「電圧変動」と「電気的ノイズ」は、それぞれ性質や影響の仕方が大きく異なります。
電圧変動:負荷の増減や送電状況の変化で電圧が上下する現象
ノイズ:高周波成分を含んだ微小な電圧が揺らぐ現象
電圧変動は、照明が少し暗くなったり明るくなったりするような、比較的長い時間スケールで起こる変化を指すのが一般的です。
一方、ノイズは高周波成分を含んだ微小な電圧の揺らぎで、モーターやインバーターなどから発生し、通信障害や音声への雑音などで問題になります。
電力サージは短期間で立ち上がる高エネルギーの過電圧パルスで、ノイズよりもエネルギーが大きく、単発でも電子部品を破壊するリスクがあります。
電圧変動やノイズ対策では電圧安定化装置やノイズフィルターが有効ですが、電力サージにはサージ吸収素子や避雷器など、より強力な保護手段が必要です。
瞬電・停電との違い
瞬電や停電は、電力サージと同じ電気のトラブルとして混同されがちですが、現象としてはむしろ逆方向の事象になります。
瞬電:送電線の事故や大電流負荷の投入などで電圧が一時的に低下する現象
停電:電圧がほぼゼロになり、一定時間まったく電気が供給されない状態
瞬電は電圧が一時的に大きく低下する現象で、停電は一定時間まったく電気が供給されない状態を指し、家電が完全に停止するなどの問題が起こります。
一方、電力サージは電圧が上方向に跳ね上がる現象であり、瞬電や停電のように電気が落ちるのではなく、一瞬だけ過剰な電圧がかかる点が本質的な違いです。
ただし、送電系統で遮断器が開閉した際に、瞬電や停電に続いてサージが発生するケースもあり、両者が組み合わさって機器が故障することもあります。
電力サージが発生する原因


電力サージは、落雷や電力会社側の設備操作、さらには家庭内の配線や使い方など、主な原因は分かっています。ここでは、主な原因ごとの特徴について詳しく解説します。
落雷(雷サージ)
電力サージの原因でエネルギー規模が大きいのが、落雷による雷サージです。
雷が電柱や配電線、建物近くの地面などに落ちると、数万~数百万ボルト級の高電圧が瞬間的に発生し、その一部が電力線や通信線を伝わって屋内の配線へ侵入します。
直接の被雷だけでなく、近くに雷が落ちた場合でも誘導雷としてサージ電圧が生じるため、直撃していないから安心とは言い切れません。
雷サージは一瞬で立ち上がる非常に鋭い波形を持ち、半導体を多用した家電の基板や電源部を一気に破壊するリスクがあります。
そのため、雷が多い地域や雷注意報が出る季節には、雷ガード付き電源タップや分電盤用避雷器などを組み合わせ、適切に保護することが重要です。
電気系統の切り替え(開閉サージ)
雷がない日でも、電力サージは電気系統の切り替えで日常的に発生します。
電力系統は、負荷の切り替えや事故時の保護動作などのために開閉器や遮断器が頻繁にオンオフされますが、その瞬間に機器や配線に大きな過渡現象が生じます。
これが開閉サージと呼ばれるもので、電圧が短時間だけ大きく跳ね上がり、配電線や建物内の配線を通じて接続された機器に到達します。
また、家庭内でもエアコンや大型冷蔵庫などモーターを内蔵する機器の起動時・停止時に、小規模な開閉サージが繰り返し発生することが知られています。
一回あたりのエネルギーは雷サージほど大きくありませんが、何度も蓄積されることで部品の劣化を早めるため注意が必要です。
配線不良・過負荷・電源トラブル
電力サージの発生原因は外部要因だけでなく、建物内部の配線状態や電気の使い方などの身近な要素も関わっていきます。
特に経年劣化したコンセントやゆるんだ配線、規格外の延長コードの多用などは、局所的なサージ電圧を繰り返し生み出すことがあります。
また、一つのコンセントやタップに消費電力の大きい機器を集中させると、ブレーカー動作や電圧低下とともに不安定なオンオフが起こりやすくなるため注意が必要です。
さらに、品質の低い電源タップや古いテーブルタップは、内部配線や保護部品が不十分で、サージをうまく吸収できずに機器へそのまま伝えてしまうケースも指摘されています。
住宅の配線点検やコンセントの交換、適切な容量の分電盤への見直し、信頼できるサージ保護機能付きタップを選ぶことが、家庭内でできる重要な予防策です。
電力サージが与える影響


電力サージは一瞬の現象でも、電子機器や家電、さらにはシステム全体にまで影響が及ぶことがある厄介なトラブル要因です。ここでは、代表的な影響について詳しく解説します。
電子機器や家電製品の故障
電力サージの影響で最も分かりやすいのが、テレビやパソコンなどの突然の故障です。
雷サージや開閉サージなどで一時的に高い電圧がかかると、電源回路や内部の保護素子が破損し、電源が入らなくなったり、異臭や異音がすることがあります。
また、ハードディスクやSSDを搭載した機器では、サージによる瞬間的な電圧がデータを破損させ、写真や業務データが読み出せなくなるケースも多いです。
修理費用や買い替え費用が高額になりやすい機器ほど、サージ保護タップや避雷器などによる事前対策のコスパが高いといえます。
電子基板の劣化や寿命短縮
電力サージが厄介な点は、時間をかけてじわじわと電子基板を傷めていくことです。
比較的小さいサージでも、半導体素子やコンデンサ、絶縁材料にストレスが蓄積し、本来の設計寿命より早く性能が低下したり、突然故障として現れるケースがあります。
例えば、電源が入りにくい、発熱が増えたなどの症状は、部品の劣化が進行しているサインで、背景にサージが潜んでいる可能性が否定できません。
特に24時間稼働させるネットワーク機器や録画機は、小さなサージの蓄積が寿命短縮に直結しやすいため、優先的に保護製品の導入を検討するのが望ましいです。
停電やシステムトラブル
電力サージは、電源系統やシステム全体のトラブルを誘発する引き金にもなります。
雷サージや開閉サージが送配電設備に加わると、保護装置が作動してブレーカーが落ちたり一時的な停電が発生し、その影響がオフィスや家庭に波及することがあります。
その結果、パソコンの予期せぬシャットダウンやシステムの再起動が起こり、復旧作業やデータ復旧に大きな手間とコストがかかる事態になりかねません。
こうした影響を抑えるためには、サージ保護とあわせて無停電電源装置を導入し、サージの吸収と停電・瞬電時のバックアップ電源を組み合わせる対策が有効です。
家庭でできる電力サージ対策


電力サージは専門設備がないと防げないと思われがちですが、家庭でも工夫次第でリスクを大きく減らせます。ここでは、今すぐ実践しやすい対策方法を詳しく解説します。
落雷時はコンセントを抜く
シンプルな対策は、電源プラグと通信ケーブルをコンセントから抜いてしまうことです。
雷サージは配電線や通信線を通じて屋内に侵入するため、物理的に回路を切り離しておけば、高電圧が機器に到達する経路を断つことができます。
特に、パソコン、テレビ、レコーダー、ネットワーク機器、ゲーム機など、故障すると被害が大きい機器ほど優先的に抜いておくと安心です。
外出時や就寝前など、雷が予想される日はあらかじめ電源タップのスイッチをオフにしておく、タップごと抜いておくといった習慣をつけましょう。
サージプロテクターの活用
物理的にコンセントを抜くのが難しい場合や、常時稼働させたい機器が多い家庭では、サージプロテクターの活用がおすすめです。
サージプロテクターは、一定以上の電圧が加わったときに保護素子がサージ電流を逃がし、接続機器に伝わる過電圧を抑える仕組みとなっています。
雷ガード機能付きの電源タップで、パソコンやルーターなどをまとめて接続しておけば、雷サージや開閉サージから守ることができます。
また、分電盤に取り付けるタイプの避雷器を導入すれば、家全体に侵入するサージを入り口で減衰させ、複数のコンセントを保護することが可能です。
UPS(無停電電源装置)の導入
重要なデータを扱うパソコンやNASなどは、サージ対策とあわせてUPS(無停電電源装置)を導入すると安心感が一段と高まります。
UPSは内部バッテリーを備え、停電や瞬電が起きた際でも接続機器に電力を供給し続けられる機器で、多くのモデルにはサージ保護機能も組み込まれています。
これにより、雷サージや開閉サージによる瞬時電圧変動を抑えながら、停電時には安全にシャットダウンする時間を確保できます。
導入時は、接続する機器の合計消費電力と、どれくらいの時間バックアップしたいかを基準に容量を選ぶことが重要です。
サージ対策としておすすめのポータブル電源2選
電力サージによる精密機器の故障を防ぐためには、電源自動切り替え機能がついているポータブル電源の導入がおすすめです。ここでは、特におすすめの2つの製品の特徴を詳しく解説します。
EcoFlow DELTA 3 Plus


EcoFlow DELTA 3 Plusは、電源自動切り替え機能を備えた大容量クラスのポータブル電源で、サージ対策と停電対策を同時に行いたい方に適しています。
容量1024Wh・定格出力1500W(X-Boostで2000W)の大容量で、99%の電化製品に電力を供給でき、停電時でもいつもの暮らしを守ることができます。
停電時に10ms未満で起動する高度な電源自動切り替え機能を備えており、接続機器への電源接続を円滑に切り替え、精密機器に給電を続けられます。
また、気象予報を参照して12時間以内に悪天候を通知する機能もあり、優先的に充電されるように設定できるため、停電に備えて十分な電力を確保できます。
節電対策、アウトドア、停電時、サージ対策など、さまざまな場面で重宝できるため、ぜひこの機会に導入をご検討ください。
EcoFlow DELTA 3 1500


EcoFlow DELTA 3 1500は、容量・価格・サイズのバランスが良いポータブル電源です。
容量1536Wh・定格出力1500W(X-Boostで2000W)の大容量で、ソーラーパネルと組み合わせれば停電時も安心して充電できます。
停電時に15ms未満で切り替わる高度な電源自動切り替え機能を備え、10年間の長寿命&5年保証がついているため、長く安心して緊急時の備えとして重宝できます。
また、90分でフル充電できる急速充電で、AC充電をはじめ、ソーラー充電や走行充電など、さまざまな充電方法に対応している点も魅力です。
バックアップ電源として便利に使えるため、少しでも興味がある方は、ぜひ以下の商品ページをご覧ください。
電力サージに関するよくある質問


最後に、電力サージに関するよくある質問を詳しく解説します。
電力サージと雷サージは同じ?
雷サージは電力サージの一種と考えると分かりやすいです。
電力サージは、送配電線や配線などに一時的な過電圧が加わる現象を指す広い概念で、原因は落雷のほか、電力会社側の開閉操作などさまざまなケースが含まれます。
一方、雷サージは落雷に起因するサージで、配電線や通信線を通じて建物内に侵入し、高いエネルギーで電子機器にダメージを与える点が特徴です。
つまり、電力サージは雷サージを含む総称という関係になり、どちらも家電や電子機器に過電圧ストレスを与える点では共通しています。
電力サージの影響を受けにくい家電は?
電力サージの影響を受けにくい家電の特徴は以下の通りです。
内部にデジタル制御回路や精密な電子基板が少ない
構造がシンプル
高電圧に対するマージンが比較的大きい
例えば、昔ながらの白熱電球やシンプルなヒーターなどは、構造が単純で半導体素子もほぼ使われていないため、瞬間的な電圧上昇で故障につながりにくい傾向があります。
一方、液晶テレビ、パソコン、ゲーム機、ネットワーク機器などのインバーター制御家電は、多数の半導体素子が使われており、サージの影響を受けやすい代表格です。
まとめ
電力サージは、落雷や電気系統の開閉、家庭内の配線トラブルなどをきっかけに一瞬だけ電圧が跳ね上がり、電子機器や家電に負担をかける厄介な現象です。
基板の劣化や寿命短縮を招き、故障やデータ消失として表面化することもあるため、仕組みと原因、そして家庭でできる対策を理解しておくことが何より重要になります。
なお、電源自動切り替え機能を備えたポータブル電源は、サージ対策と停電対策、さらには非常用電源やアウトドア用途まで一台でカバーしやすいです。
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