【法人導入事例】富士山七合目に太陽光で充電できる環境を。LooopがEcoFlowを選んだ理由
- Looop × EcoFlow|富士山 吉田口 日の出館
- ■なぜ、標高2,700mを超える過酷な環境でEcoFlowの製品を選んだのか
- 登山者の安全と再生可能エネルギーの普及。二つの課題を同時に解決したい
- 登山中のスマートフォンの電池切れは63%の登山者が経験(出展:株式会社ヤマップ「登山中にスマホが使えなくなるとどうなる?┃お守りバッテリーで万が一に備えよう」)
- ■大規模な施工が難しい山小屋。選んだのは持ち運べる太陽光パネルと蓄電池
- ■導入製品
- EcoFlow DELTA 3 Max
- 220W軽量両面ソーラーパネル
- ■総重量31kg超。社員6人が機材を担いで富士山七合目へ
- ■設置当日から利用者が。約20日間で100人以上が充電ステーションを利用
- ■太陽光発電で、山小屋の新たな電力インフラをつくる
- ■今後は、さらに多くの山小屋へ。登山者の安全を支えるインフラを目指す
- ■Looop会社概要
- ■EcoFlowコメント
Looop × EcoFlow|富士山 吉田口 日の出館
標高約2,720m、富士山の吉田口七合目に位置する山小屋「日の出館」。2026年8月19日、ここに太陽光を活用した登山者向けの無料充電ステーションが誕生しました。
設置したのは、再生可能エネルギー事業や電力小売事業を展開する株式会社Looop(東京都台東区)。EcoFlow Technology Japan(東京都中央区、以下EcoFlow)のポータブル電源「DELTA 3 Max」と220W軽量両面ソーラーパネル2枚を採用し、社員6人が機材を担いで山を登り、設置まで行いました。
プロジェクトの背景には、登山者のスマートフォンの電池切れと、山小屋における電力確保という二つの課題がありました。
■なぜ、標高2,700mを超える過酷な環境でEcoFlowの製品を選んだのか

企画を推進したLooopのGX推進部 PdM支援課 課長の野村勇登さんに、導入の経緯から設置当日の苦労、稼働後の反響まで伺いました。
導入企業:株式会社Looop
設置場所:富士山 吉田口 日の出館
標高:約2,720m
設置日:2026年8月19日
導入製品:DELTA 3 Max 1台、220W軽量両面ソーラーパネル2枚
主な用途:登山者向けの無料スマートフォン充電
導入後の実績:100人以上が利用(26年9月15日時点)
登山者の安全と再生可能エネルギーの普及。二つの課題を同時に解決したい
― 今回、富士山の山小屋に充電ステーションを設置しようと考えたきっかけを教えてください。
野村さん: 当社は「エネルギーフリー社会の実現」を企業理念に掲げ、エネルギーを特別なものではなく、誰もが当たり前に、自由に使える社会を目指しています。今回の富士山での取り組みも、電力の確保が難しい山の上で、この理念を形にする挑戦として始まりました。
Looopには部活動制度があり、私自身は社内の登山部で部長を務めています。活動を通して、山が抱える課題を解決したいという気持ちもありました。登山中、スマートフォンの充電が切れて困った経験のある方は少なくありません。現在は登山地図アプリによるルート確認や緊急時の連絡など、スマートフォンが登山の安全を支える重要な道具になっています。
一方、山小屋では使える電力が限られており、登山者向けに充電設備を開放することが難しい場合もあります。そこで、再生可能エネルギーの普及と登山者の安全確保という二つの課題を、太陽光発電によって同時に解決できないかと考えました。
登山中のスマートフォンの電池切れは63%の登山者が経験(出展:株式会社ヤマップ「登山中にスマホが使えなくなるとどうなる?┃お守りバッテリーで万が一に備えよう」)
― 設置先として日の出館を選んだ理由は何ですか。
野村さん: 当初は別の山小屋なども候補に挙がっていましたが、設置条件に合う場所がなかなか見つかりませんでした。企画メンバーの一人が日の出館のスタッフと知り合いだったことから、今回の提案が実現しました。
日の出館は吉田口ルートを登る際に通る山小屋です。私自身も以前、富士山に登頂した際に通過したことがありました。日の出館では、発電機によって山小屋の運営に必要な電力を確保していましたが、登山者から充電を頼まれても、電力に余裕がないため断らざるを得ない状況だったと聞いています。
今回の設備は、一般登山者向けの充電サービスを主な目的とし、余剰電力については日の出館で必要に応じて活用していただける形にしました。
■大規模な施工が難しい山小屋。選んだのは持ち運べる太陽光パネルと蓄電池

― 当初からポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせを考えていたのでしょうか。
野村さん: いいえ。企画の途中で方向転換しました。
山小屋は一般住宅とは構造が異なり、設置環境も過酷です。屋根に固定式の太陽光パネルを取り付けようとすると、建物の強度や施工方法など、さまざまな制約があります。
そこで、大掛かりな施工を必要とせず、建物への負担を抑えられる方法として、持ち運び可能なソーラーパネルとポータブル電源を組み合わせる方式に切り替えました。
折り畳み式のパネルであれば、荒天時や閉山期間中に取り外して収納することもできます。山小屋という特殊な環境に適した方法だと考えました。
― ポータブル電源の選定では、どのような点を重視しましたか。
野村さん: 特に難しかったのが、高地での使用条件と重量の両立です。
太陽光パネルは比較的シンプルな構造ですが、蓄電池は精密機器です。充電・放電に適した温度や使用可能な高度など、製品ごとに制約があります。
当初は、持ち運びやすい1kWh程度の小型製品も候補に挙がりました。しかし、今回の設置環境では高度に関する動作保証の条件が合わず、最終的にEcoFlowのDELTA 3 Maxを選定しました。
重量は約20kgありますが、登山者に充電サービスを提供するための容量と、高地での使用条件を考慮した結果です。
■導入製品
EcoFlow DELTA 3 Max

容量:2,048Wh
設置台数:1台
重量:約20.1kg
220W軽量両面ソーラーパネル

定格出力:220W/枚
設置枚数:2枚
重量:約5.1kg/枚
■総重量31kg超。社員6人が機材を担いで富士山七合目へ

― 機材を自分たちで運搬することになった経緯を教えてください。
野村さん: 実は、当社の創業者である中村(創一郎、代表取締役社長 CEO)は、以前から「太陽光パネルを担いで山小屋に登ろう」と話していました。私が約10年前に入社した際も、面接でその話が出たほどです。
今回、ようやく実現する機会が巡ってきました。私自身も、ぜひ自分たちで機材を担いで登りたいと思っていました。
当日は登山部の4人に加え、施工に詳しい社員2人が参加しました。ただ、技術担当のメンバーからは、最初に「かなり難しいのではないか」と懸念の声も上がりました。
事前に現地調査ができなかったため、山小屋からライブ映像を送ってもらい、設置場所や施工方法を検討しました。それでも、実際に現場に行かなければ分からない部分が多く、あるメンバーは「これまで担当した施工の中でも最も難易度が高い」と話していました。
8月19日、午前5時30分に登山を開始。約20kgのDELTA 3 Maxは野村さんともう一人の社員が交代で担ぎ、ソーラーパネルや施工資材も分担して運搬しました。
午前9時ごろに日の出館へ到着し、すぐに設置作業を開始。パネルの設置や館内への配線などを進め、午後3時ごろ、約6時間にわたる作業を終えました。
― 設置作業で特に大変だったことは何ですか。
野村さん: 現地での作業は、事前の想定どおりに進むとは限りません。山小屋は一般住宅と構造が異なりますし、必要な資材をすぐに調達することもできません。
施工メンバーが事前に検討を重ね、当日も現場の状況に合わせて対応してくれたことで、無事に設置を完了できました。
■設置当日から利用者が。約20日間で100人以上が充電ステーションを利用

― 実際に設備を設置して、どのような反響がありましたか。
野村さん: 設置した当日の夜、宿泊者の中に、スマートフォンの充電が切れ、モバイルバッテリーも使えず困っている方がいました。その方が充電ステーションの最初の利用者になりました。
翌日からも登山を続けられるようになり、早速お役に立てたことをうれしく思いました。
日の出館でも、以前から登山者に充電を頼まれることがありましたが、電力に余裕がなく、断らざるを得なかったそうです。今回、登山者に充電サービスを提供できる仕組みが整ったことを喜んでいただきました。
特に印象的だったのは、日の出館が充電サービスを無償で提供すると決めてくださったことです。私たちからは有償・無償のどちらでも構わないとお伝えしていました。
日の出館は長い歴史を持つ山小屋で、スタッフの皆さんが登山者を温かく迎える姿勢が、今回の決断にも表れていると感じました。
■太陽光発電で、山小屋の新たな電力インフラをつくる
今回の取り組みは、登山者向けの充電設備の整備に加え、山小屋における再生可能エネルギーの活用可能性を示す事例にもなりました。
富士山では、ブルドーザーによる物資輸送ルートが整備されていますが、燃料や物資の運搬には費用がかかります。太陽光発電によって現地で電力を生み出すことができれば、将来的には燃料輸送への依存を減らす選択肢にもなります。
今回の設備は登山者向けの充電が主目的であり、発電機の燃料使用量やCO₂排出量の削減効果はまだ検証されていません。それでも、建物への負担を抑えながら導入できるポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせは、山小屋の電力確保に新たな可能性をもたらします。
■今後は、さらに多くの山小屋へ。登山者の安全を支えるインフラを目指す
― 今回の取り組みを踏まえて、今後どのような展開を考えていますか。
野村さん: 社内では、次の設置先についてまだ具体的に決まっていませんが、富士山のすべての山小屋に充電設備を設置したいという思いがあります。
個人的には、富士山以外にも、登山の難易度が高く、遭難のリスクがある山にこそ、こうした設備を広げていきたいと考えています。
スマートフォンは現代の登山に欠かせない道具になっています。地図の確認や緊急時の連絡手段として使われる一方、電池が切れた途端に困難な状況に陥る可能性もあります。
登山者一人ひとりが予備バッテリーや紙の地図を携行することはもちろん重要ですが、安心して登山を楽しめる環境を整えることも、一つの解決策になると思います。
※本件に関するLooopのプレスリリースなどはこちらよりお読みいただけます。
■Looop会社概要
会社名: 株式会社Looop(ループ)
設立: 2011年4月4日
代表者: 代表取締役社長 CEO 中村創一郎
本社所在地: 東京都台東区上野3丁目24番6号 上野フロンティアタワー(受付17階)
資本金:6,680百万円(2026年1月時点)
事業内容:再生可能エネルギー事業、電力小売事業、スマートホーム事業
公式サイト: https://looop.co.jp/
■EcoFlowコメント
今回、EcoFlowのDELTA 3 Maxと220W軽量両面ソーラーパネルは、固定式の発電設備を設置することが難しい高地の山小屋に、新たな充電環境を提供する役割を果たしました。
大規模な工事が難しい場所でも、持ち運び可能な製品を組み合わせることで、必要な場所に電力を届ける。今回のLooopの取り組みは、ポータブル電源と太陽光発電が、登山者の安全を支えるインフラの一部になり得ることを示しています。